羽田圭介の芥川賞受賞小説が原作のドラマ。
きいたことがあるタイトルだと思ったら、羽田圭介の名前が出たのでわかった。
原作は読んでいなかったので内容まではわからなかったけど、少なくともそこそこは楽しめるだろうと。
この放送のあった時間帯は、前回まで阿部寛のスニッファーの放送時間だったので、新番組かと思ったら、1回完結ドラマだった。
健斗は、母親と、87歳になる要介護の祖父と同居している。祖父は大きな病気もしておらず年齢からすれば健康体といっていいくらいだが、体が思うようには動かず、口癖は「もう死んだほうがよか」。そんな祖父にへきえきとする健斗だったが、ある時…
この世知辛い世の中をうまく描いたドラマだ。主人公の学歴は不明だけど、一度仕事を辞めると、次の就職先はなかなか見つからない。資格試験を目指しても、本当のところあまり意味がない。そんな主人公の健斗には、同居している祖父がいる。健斗が彼女とイチャイチャしているときに、コツコツと杖の音が聞こえてきた。祖父が廊下を徘徊している音だ。普段は昼間に寝ている祖父。そのことには理由があった。戦争を経験し、死に遅れた自分への後悔。
健斗は祖父のことを今まで気にしていなかったのに、「もう死んだ方がよか」、ということを繰り返しきいていると、安らかな死を与えることを考えるようになる。
NHKでは、以前ピンピンポックリ計画を放送していた「破裂」というドラマがあったんだけど、同じような設定かなと思った。道徳的な問題もあるし、何が正解かはわからないけれど、安らかな死を手伝うことがテーマなのはわかった。
母親は、あえて祖父の体を動かすために自分のことは自分でさせる。筋力を衰えさせないためだ。キツイ、痛い、をサポートすると、なんでも人任せ。何もしないので、楽な方へと心が流れてしまう。
では、逆に祖父が楽なことに慣れればどうなるだろうか。筋力は衰え、やがては死へとつながる。
友達に問い詰められて、そのことを話すとわかってもらえない。おかしいとののしられる。祖父の本当の意志は誰にもわからない・・・
そんな中、祖父が杖なしで廊下を歩いている後ろ姿を見かける。キッチンには食べかけのピザが!?
そして、気になるその後は・・・
さすが芥川賞をとるだけあって、よくできている作品だ。
ちょっと暗めな内容だけど、個人的にはオススメ!
田中健斗 柄本佑
亜美 山下リオ
大西大輔 浅香航大
田中昭一 山谷初男
田中春子 浅茅陽子