重加算税!? 99.9-刑事専門弁護士- SEASON II 4話




今回は、契約を切られることによってかっとなった男が相手を殺して自分も自殺した、という事件。しかしそれはおかしいと自殺した男の妻。そこでこの事件の真相を追い求める話。

途中から、偽の証人を準備する時点でオチはわかったんだけど、それよりも気になるのが香川照之が演じる佐田篤弘のセリフ。ことあるごとに、仮装ですよ、重加算税ですよ、とある男を脅すんだけど・・・

まず、仮装(利益操作)したからといって重加算税の対象ではない。そもそも契約を切られて困るということは、経営状況があまりよくなく、赤字を黒字に数字を操作しているということ。つまり、税金を多く納めているということ。本来の正しい数字に戻すと税務署は還付(税金の払い戻し)をしないといけない。それのどこに重加算税が付加される税金があるのか。仮装=重加算税とか、知識がなさすぎ。

※重加算税とは、本来納付すべき金額と実際に納付した金額との差額に対して賦課される税金。不納付=0円、過少申告=本来の納付金額より過少に納付、した場合に関しては、必ず差額が発生するが、逆に過納付の場合は本来あるべき税金は支払っているため、税務署にとっては損はない。

次に、仮に本来の数字とは違っていたとして、それが仮装隠蔽に該当するのか、期ズレなのか。最近は期ズレに対しても厳しいらしいが、すべてが重加算税の対象ではない。

※期ズレとは、通常1年間で区切っている収入や費用を、次の期にずらしたり、次の期から先取りしたりすること。長期間でみれば、例えば2年間とか5年間でみればトータルは同じと考えられるため、それが故意なのかただの人為的なミス(間違い)なのかで対応は異なる。

最後に、佐田がそこまで税務・会計の知識があるのか。弁護士は税理士の資格も有するが、業務内容が別なため両方の仕事をする人はほぼいない。税務訴訟に携わっている弁護士でも、実務的な内容、つまり決算書の数値の分析(把握)ができる人はさらに少ない。

佐田が何を根拠に数字が違うといっているのかは不明だけど、通常第三者がその情報を知りえることはまずない。税務署に提出する決算書、銀行等金融機関に提出する決算書等、数字の違う決算書が手に入るとすれば顧問契約をしている税理士事務所からくらいだろう。そう簡単に手に入るかな?亡くなった人の奥さんが経理をしていて決算書の控えを持っていたのだろうか。

そもそも、本来の数字と違うということは、正しい決算書と偽物の決算書がないといけない。税務署に正しい決算書を提出し、銀行等に偽物の決算書を提出したのだろうか。そのあたりも聞き逃しただけかもしれないけど、よくわからない。

以上のことから、今回の佐田の発言は、いい加減だといわざるをえない。



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